「自己変容ファシリテーター」が促進するもの
はじめに
夏ごろに以下のようなツイートをしました。
ファシリテーターは何を促進するのかを名乗るのが多いらしいのですが、自分が目指すところを知っている近い言葉で表現すると「自己変容ファシリテーター」です。
— Toshiyuki Manabe (@ToshiManaPlus1) 2018年8月26日
「自己変容ファシリテーター」は造語なので、その具体的な内容についてを本記事で整理します。
自己変容ファシリテーターとは
言葉の意味をハッキリさせます。
「自己変容」とは
一般的な「変容」の意味は以下のとおりです。
姿や形が変わること。姿や形を変えること*1
私は「自己変容」を「変容的学習理論」における「変容学習」と同等の意としています。「変容学習」の意味は以下のとおりです。
自分自身や世界に関する見方をシフトさせる学習*2
促進するもの
「自己変容ファシリテーター」として促進するものを具体化します。
相手が変わることを促進するのか
「自己変容ファシリテーター」は相手が変わることを促進しません。私は「相手が変わる必要がある」かどうかを判断できません。私の人生が相手の人生よりも優れている、ということが私の主観だけでは評価できない*4ことが理由です。そのため、私が相手の人生に口を出す余地がない、というのが正直なところです。
促進するものは何なのか
「自己変容ファシリテーター」は相手が「本音を自覚すること」を促進します。相手が「変わりたいときに変われること」の下地を作ることを促進します。
「馬鹿は強い」というイメージ
「本音を自覚すること」は、「馬鹿は強い」という考えが土台にあります。
「馬鹿は強い」という言葉はイメージつきますか?漫画などでは「馬鹿」なキャラクター*5はギャグでこそボケの立場にありますが、いざというときは非常に格好良く描かれることが多いです。
「馬鹿」キャラクターはその生き様が人に大きな力を与えてくれます。私が感じる格好良い「馬鹿」キャラクターの魅力を以下に列挙します。
- シンプルな考え方をする
単純かつ簡潔な思考のため、そのキャラクターが何を考えているのかを理解することが容易です。
- 発言が本質を突く
複雑な事情が絡んでいる状況においても、大事な考え方がブレません。
- 気持ちと行動が一致している
気持ちがそのまま行動に繋がっているかのように、強い想いが強い行動を生み出しています。
建前での行動
我々も「馬鹿」キャラクターのように、本質的で魅力的に生きたいと考えますが、現実はなかなか上手くいきません。現実の複雑な問題に対応するために、本質とは異なる発言や行動を行うことが多くあります。建前的な発言や行動が増え続けることによって、自身の本音から目を背けて行動することに慣れてしまっているのではないかと思います。
建前で行動することの問題点は、非効率であるが挙げられます。自分の本音ではないため、建前での行動は全力になり切れないことが多いように思います。また、建前の行動は全力でないことから、結果からのフィードバックが上手くいかないことが多いと感じます。
本音を自覚すること
自分の本音に沿った行動には以下のような利点が挙げられると考えます。
- 行動に迷いがなくなり、全力で取り組めるようになる
- 行動の結果に対して真摯に受け止めやすくなる
- 行動が自身の満足に繋がりやすくなる
とはいえ、本音で行動していない人が、すぐさま本音で行動することは様々な理由で難しいかと思います。そのため「自己変容ファシリテーター」は、相手が今より少しでも「本音を自覚する」ことを目的としています。必要な時に本音で行動できるように、本音がどこにあるかを把握できる準備を「自己変容ファシリテーター」は手助けします。
また、「自己変容ファシリテーター」は建前を無くすことを必要としません。建前が不要だとして、即座に建前を捨てられる人は珍しいと思います。何かの理由があって必要だからこそ、建前は本音を十分に隠せるほどに前に出てきているはずです。
おわりに
私が理想とする「自己変容ファシリテーター」が促進するものについて考えをまとめました。
具体的なファシリテーションの内容については本記事では言及していません。過去記事で「本当の支援」についてまとめた内容が、ファシリテーション時の心構えと同等なので、気になる方はご覧ください。
「相手を変える」のではなく「相手が変われるようにする」ことを重視する背景として、「相手が私の想像を超えるところが見たい」という想いがあります。相手が自分の想像を超えて活躍するために、自分ができることを考えた結果が「自己変容ファシリテーター」です。周りが活躍するのを見るのは気持ちが良いので、そのために上手く自分を使ってもらえるように「自己変容ファシリテーター」実現を目指していきたいと思います。