はじめに
アイデア創出の支援活動をしている石井力重さんの書籍「すごいブレスト」出版記念によるブレスト体験ワークショップに参加してきました。
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私も「すごいブレスト」は読みましたが、ブレストに関する基本的な内容から応用的な考え方、実践における課題への対応など幅広く読み易い形でまとめられている印象を受けました。このワークショップも本で紹介されている内容を体験できるということで、とても楽しみにしていました。
booklog.jp石井さんがアイデア創出を生業にしているだけあって、多くの工夫が感じられた会でした。ワークショップと運用について、気に入った点についてまとめます。
ワークショップ
「すごいブレスト」でも紹介されている「3人ブレスト」を体験してきました。すごかったです。
3人ブレスト
Zoomのブレイクアウトルームを使って、3人ずつのグループに分かれてのブレストを行いました。オンラインでは誰かが会話の主導権を持つと他の人が話しにくい印象を受けますが、3人くらいだと全員の意見を万遍なく聞けるため、活発に意見が言い合える場になるという印象を受けました。
「3人ブレスト」は8分を1回として、人をシャッフルして4回を実施しました。時間や回数にも意味があるとのことでした。
- 時間
8分という時間は、もともと対面での「3人ブレスト」は6分単位で実施していたのですが、オンラインだと議論が収束しにくかったそうです。リアルに比べるとオンラインは1.3倍時間がかかる傾向にあるらしく、6分×1.3倍≒8分、という時間計算になるとのことでした。
- 回数
4回という回数は1~2回だと意見が出し切れず5~6回だと多すぎてしまうことから、3~4回という回数を推奨している、とのことでした。私のグループでは、1~2回目は新しいアイデアを出すことができましたが、3~4回目は既存のアイデアを深める意見が多かったため、3~4回が妥当であることは体験とも一致していました。
アイデアの素描
「3人ブレスト」で出たアイデアをもとに、各人でアイデア案をスライド1枚にまとめました。Googleスライドを使って全員で同じファイルに対して作成していたため、時間が余ったときに他の人の作成途中をのぞき見してインスピレーションを受けたりして面白かったです。
休憩のデザインに関する話もあり、「個人ワークの後に休憩を挟むとじっくり考えたい人にも対応できる」と説明いただきました。私の体験として、別の勉強会でもワーク後の休憩時間で延長して考えることが良くあるため、すごく納得のいく内容でした。
アイデアへの星付け(投票)
各人がスライドにまとめたアイデアに対して、それぞれが良いと思ったアイデアに星付けを行いました。時間が無い中でもイラストなどで表現を工夫される方が多く、参加者の熱意を感じられる時間でもありました。
面白いと思ったのは、アイデアを投票数の多い順に並び替える作業を参加者たちが人力で行うことでした。共有ファイルを複数人で操作するとトラブルが起きる印象があったのですが、トラブル無く短い時間で並び替えが完了しました。石井さんのオンライン経験の豊富さからくる任せ方だと思いましたし、そういうやり方があるんだ!と感銘を受けました。
上位案へのレビュー
多くの投票を集めたアイデアに対して、案作成者からの説明と、それに対するレビュー(質問、感想)を行いました。
レビューは別に用意した白紙スライドに書き込む形式でしたが、同時編集により他の人の書き込みが見えるのが面白かったです。説明や他の人の書き込みにより、自身の創造力が刺激される経験ができました。
運営
運営方法でも興味を惹かれるところが多かったのでまとめます。
ビデオMix
オンライン会議システムでは「本人の映像」「発表資料」のいずれかを共有することが多いですが「本人の映像」について工夫がされていました。ただの「本人の映像」だけでなく「手元(のノート)の映像」をビデオMixして表示していました。ペンタブのように手書きをデジタル化するツールもありますが、ノートとペンによる手書きの映像が出てくることで「リアル感」「創造感」が強く、見ている側のテンションが上がるような工夫でした。真似したい。
オンラインツール
「すごいブレスト」でもオンライン対応を謳っているいるだけあって、オンラインツールの使いこなしが印象的だったワークショップでもありました。
オンライン会議システムへの映像はビデオMixしたものを使っていたり、スライドにはWindows / Macなど環境問わず安定動作しやすい「Googleスライド」、感想にはリアルタイムでアンケートを取れる「slido」を使ったりしていました。
また、ツールの選定だけではなく、使い方への工夫も多かったです。「すごいブレスト」でも工夫への言及はありましたが、石井さんの経験や準備を感じることができましたし、実際に使っているところを見れたのはとても勉強になりました。
- Zoomで「3人ブレスト」を行うときにブレイクアウトルームを使用するが、参加者のランダム性を高めるため、参加者氏名の前に好きな3桁の数字を何度か付け替えてもらう
- Googleスライドは複数のファイルを用意しておく。同時アクセス数が多いと、動作が重くなって作業に支障がでるため。
おわりに
ブレストそのものも勿論良かったのですが、運営の上手さなども堪能できて、とても多くのことを学ぶことができました。「ほんとうに無料でいいんですか!?」と思えるくらい貴重な経験ができましたし、「3人ブレスト」の考え方は応用が利きやすいため、機会を作って試したい、と思いました。