2016/11/19(土)「第二回盛岡ソフトウェア勉強会」に参加しました。
2016/11/19(土)の第二回盛岡ソフトウェアテスト勉強会の参加レポートです。
岩手では勉強会活動があまり盛んではない、というところから岩手出身の藤沢さんが岩手に縁のある方々を集めて開催しています。登壇者の浦山さつきさんは同じく岩手県出身、吉田さんは滝沢市にある株式会社ヴェスに勤務されています。私は岩手と直接の縁はありませんが、岩手出身の会社の人などと一緒に参加しました。
はじめに
ソフトウェアテストの勉強会だと、テスト技法についての話が多いです。しかし、今回は「ソフトウェアテストの第一歩」というテーマで、上流よりのテストの考え方について学ぶ勉強会となっています。講演者3者がテストプロセス、テストレベル、テストタイプについてそれぞれ語る形式となっています。
ソフトウェアテストことはじめ2016年ver
藤沢さんによるテストプロセスの要素である(テスト計画、テスト分析、テスト設計、テスト実装、テスト実行、テスト報告)についての説明と、藤沢さん自身の経験から考案したソフトウェアテスト活動簡易評価チェックリスト10か条の各項目の説明、という構成でした。
10か条は時間の都合で詳細な説明がされたのは5項目でしたが、機会があれば全部聞きたかったです。藤沢さんの経験に基づいているため、私含め参加者の皆様からしたらドキリとくる内容だったかと思います。いくつかピックアップしてみます。
テストに関する成果物のレビューを計画していること。また、計画通り実施していること。
テストに関する成果物に対して、必ず関係各位にレビューをしてもらおう。セキュリティ部門の方とか、開発の方とかにレビューをしてもらうことで、自分では気付かなかった成果物の問題点に気付くことができる。レビューを計画しても関係者とのスケジュール調整が困難な場合がある。しかし、レビューを実施しないことは危険であり、重要な人をピックアップして行うなどしてレビューは必ず実施する。
テストケースは、具体的なテスト実行手順を読み手に理解できるように記述していること。
検討したテストケースがテスト実行のフェーズになって実行できない問題が起きる場合がある。そのため、手順で使うツールや環境などの不明点は明確にした上で手順を検討する。細かい環境が分かっていないとテスト実行ができずに手戻りが発生する。
手戻り撲滅!テストからできる手戻り防止策
浦山さんからは開発のコストを下げるためのテスト側からのアプローチと受け入れテストについての考え方の話をお聞きしました。ワークが多く、ほかの参加者の方々と意見交換をすることができて楽しくみることができました。
開発コストとテスト
開発のコストとして、「製造コスト、予防コスト、評価コスト、内部失敗コスト、外部失敗コスト」に分けられる。製造コストを除いたものを品質コストと呼び、予防/評価コストを管理可能な品質コスト、内部失敗/外部失敗コストを管理ミスの品質コストとする。長期的な品質戦略としては管理ミスの品質コストを減らすことで、「機会損失」を減らすことが重要。そのために、要求分析や設計の段階からレビューにより不具合を検出して、手戻りを少なくすることが有効であるとされる。今回紹介された開発コストの分類は以下の書籍が出典となる。
- 作者: フィリップ・B.クロスビー,小林宏治
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 1980/05
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
受け入れテストの考え方
機能という言葉の2通りの解釈ができる。FunctionとFeatureの解釈があり、Functionはソフトウェア開発で使われる製品操作を指す言葉。対して、Featureはもとはマーケティング用語でユーザに「役に立つ」ことを指す言葉となる。テストの観点を抽出する目的としては、ユーザ視点側であるFeature側の機能を出すようにすると良い。テスト項目を洗い出した後に「これはユーザにとってどんな価値を与えるのだろう」という切り口を持つことで、新しい項目が出てきたり、その機能がどうあるべきかを見つめなおす切っ掛けとなる。
ユーザビリティの重要性
吉田さんからは様々テストの中から、テストケースでは表しにくいユーザビリティテストについての話を聞きました。エラー時の言葉の使い方や画面タップ時の挙動についての事例を紹介しながら、テストケースの手順や期待値では表せない「ユーザがどのように受け取るか」を検討することの重要性について解説いただきました。
おわりに
岩手の勉強会活動が盛んではない、という話でしたが土曜日にも関わらずたくさんの方が参加されていました。仙台からだと比較的参加しやすいので、次がありましたらまた参加したいと思います。