2018年を振り返る

はじめに

晦日になったので、2018年を振り返ります。

「一年は短い」みたいに聞くけど、嘘ですね。「あれってまだ一年経ってないんだっけ」ということが多くて困る。

以下の3つに分けて振り返ります。

  • 娯楽
  • オンライン
  • 勉強関係

娯楽

個人的に楽しんだコンテンツの話です。以下の4つに分けます。

  • アニメ
  • 映画
  • 書籍
  • アウトドア

アニメ

ポプテピピック

期待通りの「型破り」を実行してくれたアニメです。声優の表現力を知る事ができる作品としても価値が高いかと思います。

hoshiiro.jp

ポプテピピック」の劇中作である「星色ガールズドロップ」も、存在していない作品がまるで存在している体でアンソロジーが作られた、という状況が面白かったです。

星色ガールドロップコミックアンソロジー (バンブーコミックス WINセレクション)

星色ガールドロップコミックアンソロジー (バンブーコミックス WINセレクション)

映画

グレイテスト・ショーマン

自分至上最高の映画作品といっても過言ではありません。自分はミュージカルが苦手だったんですが、そんな苦手意識が吹っ飛ぶほどの素晴らしい作品です。ダンス・音楽・ストーリーなどが高水準で、見ていない人には思わず「人生損をしている」と言いたくなります。

www.foxmovies-jp.com

公式で作品に関する動画を多数出してくれるのも好印象です。

www.youtube.com

www.youtube.com

バーフバリ 王の凱旋

もう一つ映画を挙げるとすればインド映画のバーフバリです。2部作の後編ですので、見たことない方は前編「バーフバリ 伝説誕生」を先に見ることをお勧めします。バーフバリが圧倒的に英雄すぎて、物語としての些細な問題があったとしても、王の勢いの前には関係ありません。バーフバリを超える英雄はしばらく現れないのではないでしょうか。Fate Grand/Orderへの参戦が待たれるところです。

baahubali-movie.com

書籍

カイゼン・ジャーニー

改善活動を物語仕立てに、状況別に整理した人気の一冊。改善活動に困っている人がいたら、とりあえずの一冊として安心してお勧めできる素晴らしい本です。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

対話的組織開発

個人的に心の師とするエドガー・H・シャイン氏の関わった一冊。組織という膨大で捉えにくいものに対して、多くの知見をまとめ上げられている本であり、個人的に今年最高の一冊です。が、内容の重さも最高。密度も濃ければページ数も多い。

対話型組織開発――その理論的系譜と実践

対話型組織開発――その理論的系譜と実践

敵とのコラボレーション

優れたファシリテーターとして知られるアダム・カヘン氏を知った一冊。初参加のビブリオバトル*1でチャンプ本となった思い出の本でもあります。紛争解決ファシリテーターとして知られるアダム・カヘン氏による本当の敵対関係の間を取り持った知見は非常に勉強になります。

敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法

敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法

アウトドア

栃木でスカイダイビングしました。降りているときよりも、飛行機で登っていく方が怖かったです。

www.skydivefujioka.jp

オンライン

「zoomで支払った月額料金を無駄にしない」ことを原動力とした活動です。思い付きの企画ばっかりでしたが、多くの方が参加していただきました。リアルで会ったことがないのに、オンラインでの繋がりができることも増えました。本当にありがとうございました。

zoom.us

以下の3つに分けて振り返ります。

オンラインもくもく会

毎週木曜日の夜にオンラインで集まって勉強する機会を作りましょう、という趣旨の会です。開催は数え切れていませんが、告知した回数は20回を超えていることは確認しました。2018年終盤は減速気味なこともあり、来年以降の進め方は再考が必要に感じています。アイディア募集中。


オンラインテスター人狼

2017年8月から時たま実施するようになった中島人狼*2とzoomを用いたオンライン人狼であり、テストエンジニアが中心として参加していることから通称テスター人狼です。2018年は計4回開催。うち1回は @hiroyuki3gou さんにGMをしていただき、初のオンライン人狼プレイヤー参加となりました。2019年も楽しんでいきたいですね。以下、開催日。

  • 1/7
  • 3/10
  • 9/29( @hiroyuki3gou GM)
  • 12/22

オンライン飲み会

飲み会という名で実際は勉強会みたいな名前詐欺イベント。2018年の開催回数は8回+αで、思った以上に沢山開催していました。参加者の方に講師役をお願いすることも多く、貴重な話を沢山お聞きすることができました。皆さんの強みをもっとたくさん見たいです。来年も継続したい活動です。以下、開催イベントです。

2/10 「状態遷移テスト」

@trickmrbiz さんに状態遷移テストの話をしてもらった会。 LTでは他の方に話して貰いました。

@yoshikiito さんによる「インプットからアウトプットまでのフロー紹介」。アウトプッターと自称するだけの貫禄の発表。

t.co

@teamomusoba さんによる「"チーム作り"と"MTG"の親和性」。MTGは大事!完全版ができたら2時間枠でお話聞きたいのでいつでもお待ちしています。

teamomusoba.hatenablog.com

自分も発表しました。

t.co

4/15 「設計・ドキュメントレビュー」

@rin2_ さんや @dproject21 さんに設計やドキュメントレビューについて語っていただきました。背景が違うと設計やドキュメントレビューとの付き合い方も結構変わるということを思い知りました。

connpass.com

6/1 「チームづくり」

チームづくりに一家言ある方々にお集まりいただき、それぞれに発表いただいた会。

connpass.com

@caori_t さんによる自身が実際に触れた2つのチームで感じたことをまとめていただきました。同じチームに居続けると変化に気づきにくいので、比較することは凄く重要だと思います。

speakerdeck.com

6/23 「サプライズデザイン&エンターテインメント論」

サプライズについて圧倒的なこだわりと実行力を持つ @nemorine にお話しいただいた会。

@nemorine によるサプライズを実施するときの考え方、仕込み方の話。えげつなすぎる(誉め言葉)。

www.slideshare.net

自分も発表しました。まとめきれなかった部分は後日ブログ(http://toshimana.hatenablog.com/entry/2018/06/28/083231)にまとめてあります。

www.slideshare.net

7/28 「支援についての話」

ボランティア活動に精力的に活動されている @trickmrbiz さんや @pineapplecandy さんに支援について語っていただいた会。

connpass.com

自分も発表しました。エドガー・H・シャイン先生の支援学の話。

www.slideshare.net

8/19 「教え方について」

@mhlyc さんについて、人へ教えるときに悩みベースで発表いただいて、どうすれば良いかを議論しあった会。

connpass.com

9/15 「プロセス改善」

@tonono2587 さんを男どもが囲う会のお悩みをみんなで相談にのる会。TLでオンラインという言葉に首を突っ込んだら、私と交流のなかった @tonono2587 さんを主軸におく変わった会になりました。

connpass.com

11/22 「機会学習のテスト」

実際には募集を早期に切り上げてクローズド風味で開催した会。今年実施したオンライン飲み会の中では技術レベルが飛び抜けて高い。ほぼ聞き専だったけど面白かった。

connpass.com

番外:3/21 「SaPIDファンミーティング」

問題解決技法である「SaPID」の有志によるオンラインでのファンミーティング。SaPID好き*3が集まって沢山お話しました。

connpass.com

@caori_t さんによる「自律したチームをつくるためにSaPIDの要素を使ってみた話」。SaPIDを用いた改善活動の実例でした。

speakerdeck.com

自分も発表しました。SaPIDファシリテーターが抱える問題の分析と具体的な問いかけ技術の発表。

www.slideshare.net

勉強関係

特に印象に残っている勉強関係のものを振り返ります。以下の3つに分けます。

  • 参加
  • 資格
  • 運営

参加

JaSST'18 Niigata

ソフトウェアテストシンポジウム新潟。「セキュリティ」をテーマにした一日。あまり馴染みのない分野ではあったが、その分学ぶものが大きかったことが印象的。あと、ご飯が凄く美味しかった。

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'18 Niigata-レポート

とちぎテストの会議05

「あのチーム」と言われるチームを中心に、2年に一度行われるテストの会議。「あのチーム」は皆さんが飄々としているのに本質はブレないので、凄くないように見えて凄いことをしているチームなのが凄い。

d.hatena.ne.jp

今年は一般公募枠で発表させていただきました。「不安マネジメント」のススメ。

www.slideshare.net

SaPID Bootcamp 2018.10

問題解決のファシリテーターとしての実力を磨くためファシリテーター枠で参加。自分の技能を見直す良い機会になりました。

www.software-quasol.com

JaSST'18 Hokkaido

2度目の北海道上陸。本来の9月開催が地震で中止になったが、実行委員の努力により、ほぼ変わらない内容で11月末に開催されたという、今思うと凄いイベント。ビブリオバトルしたり、レポート書いたり、脱がっかりツアーを楽しんだりと満喫。あと、ご飯が凄く美味しかった。

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'18 Hokkaido

資格

JSTQB FL

「JaSST(東北)の実行委員をしているのに、JSTQBの資格も持たないなんて」と白い目で見られないように*4、頑張って取得しました。仙台開催が嬉しいですね。参加者たくさんいたので、もっと継続的にやればいいのに。

JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領-

TOC Learning Connection

「国際認定プログラム」という4日間(2/17,18, 3/16,17)の講習を受けて取得しました。子供でも論理的に考えられるように整理された*5思考ツールの認定資格です。後に説明する仙台TOC/TOCfE勉強会へとつながります。

tocforeducation.org

SaPID PrePractitioner & PreFacilitator

問題解決手法であるSaPIDの資格です。試行段階ですが、実用的な問題解決のノウハウが詰まっているSaPIDが資格認定を始めたということで飛びつかせていただきました。

www.software-quasol.com

運営

VSTePのファーストステップ

JaSST'16 Tohokuで実施したテスト開発技法のワークショップ「VSTePのファーストステップ」を2回(新潟,東京)行いました。素晴らしい技法を学んだ身としては、普及(というかは全体的なテスト技術の向上)に多少なりとも貢献できれば、と思っています。ワークショップを受けたい方は是非、JaSST東北実行委員会までご相談ください!

swanii.connpass.com

VSTeP – Qualab

JaSST'18 Tohoku

JaSST東北実行委員会によるメインのシンポジウム。今年は「HAYST法」というテスト開発技法を提唱者の秋山氏に基調講演でお話いただきつつ、オマケでHAYST法を体験できるワークショップ*6がついてくるということで、多くの方にご参加いただきました。VSTePと同様にこちらも素晴らしい技法であり、もっと普及(というか考え方を元にした全体的なテスト技術の向上)に貢献したいと思います。

JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'18 Tohoku-レポート

togetter.com

以下、実行委員長(当時)による渾身のブログ。

t.co

仙台TOC/TOCfE勉強会

TOCfE国際認定プログラムでの「TOC Learning Connection」取得に合わせて、仙台でもTOC/TOCfEの勉強会を始めました。年内の目標であったTOCfEの3つの思考ツールを扱う勉強会は完遂しました。来年はTOCを扱う勉強会も開催したいと思います。

www.kokuchpro.com

www.kokuchpro.com

www.kokuchpro.com

おわりに

書いていないこととして、近年は「人の考え方」に重きをおいていたのですが、使える目途が立った*7ので、翌年は比重を落としても良いかと考えています。

代わりに「技術者」として恥じないように、もっと技術に目を向けるようにしたいとざっくりですが考えています。上を見ればキリがないし、周りの成長速度がハンパないので、置いて行かれないようにしないとならないですね。

今年も良い年だったと思うので、来年はそれに負けないように頑張っていこうかと思います。

それでは、良いお年を!

*1:JaSST'18 Hokkaido

*2:[https://www.nakajima-jinro.com/

*3:SaPID提唱者を含む

*4:そんなことは起きない

*5:大人も使える

*6:約6時間のワークショップを行いました

*7:実践は全然足らない

「自己変容ファシリテーター」が促進するもの

はじめに

夏ごろに以下のようなツイートをしました。

「自己変容ファシリテーター」は造語なので、その具体的な内容についてを本記事で整理します。

自己変容ファシリテーターとは

言葉の意味をハッキリさせます。

「自己変容」とは

一般的な「変容」の意味は以下のとおりです。

姿や形が変わること。姿や形を変えること*1

私は「自己変容」を「変容的学習理論」における「変容学習」と同等の意としています。「変容学習」の意味は以下のとおりです。

自分自身や世界に関する見方をシフトさせる学習*2

ファシリテーター」とは

ファシリテーター(facilitator)」の意味は以下のとおりです。

物事を容易にできるようにする人や物。また、世話人*3

なお、「ファシリテート(facilitate)」は「促進する」を表す英語です。

「自己変容ファシリテーター」とは

「自己変容」と「ファシリテーター」を合わせて「"相手が自分自身や世界に関する見方をシフトさせること"を促進するもの」の意味で利用しています。

促進するもの

「自己変容ファシリテーター」として促進するものを具体化します。

相手が変わることを促進するのか

「自己変容ファシリテーター」は相手が変わることを促進しません。私は「相手が変わる必要がある」かどうかを判断できません。私の人生が相手の人生よりも優れている、ということが私の主観だけでは評価できない*4ことが理由です。そのため、私が相手の人生に口を出す余地がない、というのが正直なところです。

促進するものは何なのか

「自己変容ファシリテーター」は相手が「本音を自覚すること」を促進します。相手が「変わりたいときに変われること」の下地を作ることを促進します。

「馬鹿は強い」というイメージ

「本音を自覚すること」は、「馬鹿は強い」という考えが土台にあります。

「馬鹿は強い」という言葉はイメージつきますか?漫画などでは「馬鹿」なキャラクター*5はギャグでこそボケの立場にありますが、いざというときは非常に格好良く描かれることが多いです。

「馬鹿」キャラクターはその生き様が人に大きな力を与えてくれます。私が感じる格好良い「馬鹿」キャラクターの魅力を以下に列挙します。

  • シンプルな考え方をする

単純かつ簡潔な思考のため、そのキャラクターが何を考えているのかを理解することが容易です。

  • 発言が本質を突く

複雑な事情が絡んでいる状況においても、大事な考え方がブレません。

  • 気持ちと行動が一致している

気持ちがそのまま行動に繋がっているかのように、強い想いが強い行動を生み出しています。

建前での行動

我々も「馬鹿」キャラクターのように、本質的で魅力的に生きたいと考えますが、現実はなかなか上手くいきません。現実の複雑な問題に対応するために、本質とは異なる発言や行動を行うことが多くあります。建前的な発言や行動が増え続けることによって、自身の本音から目を背けて行動することに慣れてしまっているのではないかと思います。

建前で行動することの問題点は、非効率であるが挙げられます。自分の本音ではないため、建前での行動は全力になり切れないことが多いように思います。また、建前の行動は全力でないことから、結果からのフィードバックが上手くいかないことが多いと感じます。

本音を自覚すること

自分の本音に沿った行動には以下のような利点が挙げられると考えます。

  • 行動に迷いがなくなり、全力で取り組めるようになる
  • 行動の結果に対して真摯に受け止めやすくなる
  • 行動が自身の満足に繋がりやすくなる

とはいえ、本音で行動していない人が、すぐさま本音で行動することは様々な理由で難しいかと思います。そのため「自己変容ファシリテーター」は、相手が今より少しでも「本音を自覚する」ことを目的としています。必要な時に本音で行動できるように、本音がどこにあるかを把握できる準備を「自己変容ファシリテーター」は手助けします。

また、「自己変容ファシリテーター」は建前を無くすことを必要としません。建前が不要だとして、即座に建前を捨てられる人は珍しいと思います。何かの理由があって必要だからこそ、建前は本音を十分に隠せるほどに前に出てきているはずです。

おわりに

私が理想とする「自己変容ファシリテーター」が促進するものについて考えをまとめました。

具体的なファシリテーションの内容については本記事では言及していません。過去記事で「本当の支援」についてまとめた内容が、ファシリテーション時の心構えと同等なので、気になる方はご覧ください。

toshimana.hatenablog.com

「相手を変える」のではなく「相手が変われるようにする」ことを重視する背景として、「相手が私の想像を超えるところが見たい」という想いがあります。相手が自分の想像を超えて活躍するために、自分ができることを考えた結果が「自己変容ファシリテーター」です。周りが活躍するのを見るのは気持ちが良いので、そのために上手く自分を使ってもらえるように「自己変容ファシリテーター」実現を目指していきたいと思います。

*1:引用:デジタル大辞泉

*2:引用:https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000176/

*3:引用:デジタル大辞泉

*4:そもそも、人生に上下関係はつけられない派

*5:例えば、日本で最も売れている海賊漫画の主人公など

創作物における「世界」の品質について考える

ソフトウェアテスト #2 Advent Calendar 2018 - Qiita 最終日(25日目)の記事です。メリークリスマス!!!*1

qiita.com

前日は @miwa719 さんによる「違和感のつかまえかた - CAT GETTING OUT OF A BAG」でした。意識しにくい違和感との向き合い方をまとめた内容で、すごく勉強になる内容でした。

miwa719.hatenablog.com

はじめに

「世界観」という言葉に皆さんはどのような印象を持つでしょうか。例えば「良いゲームや映画には良い世界観がある」といわれて大体の方は納得すると予想します。しかし「世界観って何なのか」を具体的に答えられる人は少ないのではないでしょうか。本記事では、創作物においてなんとなくわかった気になっている「世界」について整理します。また、創作物における「世界」の品質について私の考えをまとめたいと思います。

なお、本記事は「世界」の品質について、個人の感覚をまとめたものです。いわゆる「技術ポエム」に相当する内容です。ご理解の上、お読みください。

「世界」という単語の本記事での扱いについて

本記事における「世界」は「すべての有限な事物や事象の全体」の意で使用します。よく「地球上の全ての国」の意で使われますが、今回はそれではありません。類義語として「環境」が近い印象です。また「世界設定」も近いと思います。

問いかけ:「世界」はどんな創作物に出てくるか

私の認識ですが、実情として「世界」について語られる分野と「世界」が語られない分野があるように感じます。

「世界」が語られる分野で、すぐに思い当たるのは「芸術・ホビー」分野です。「ゲーム」とか「SF作品」について、「世界」が語られることについて違和感を感じる人は少ないと思います。

対して「世界」が語られない分野として、ざっくりですが「業務系」分野が挙げられると思います。「この業務システムの世界観としましては~」とか言われたとしても、少なくとも私は耳馴染みがないと感じます。

慣習的に出てきやすい/出てきにくい、はありそうです。では「世界」が出てくる/出てこないの境目は明瞭でしょうか。例えば、以下のような例の場合、「世界」は出てくるでしょうか。「世界」はフィクションが関係する分野ではよく語られますが、少なくとも私の感覚ではフィクションじゃなくても「世界」が出てきそうです。

  • ノンフィクションドラマ
  • GUIにマスコットキャラクターが登場する業務システム

本記事における「世界」が出てくる対象物

本記事における「世界」は「創り手がいて、受け手がいるもの全て」に存在するものとします。つまり、ゲームや映画などのフィクション作品だけでなく、例えば、我々が日常的に触れる「料理」や「報告書」などにも「世界」があるものとします。

、、、そろそろ「世界」という言葉がゲシュタルト崩壊してきそうですね。

世界

創作物における「世界」は以下で構築されるものとします。

  • 複数の「規則」の集まり
  • 「規則」の「整合性」が保たれている状態

創作物における「世界」の有無は「規則」の有無だと私は考えています。そのため、「芸術・ホビー」分野に限らず「業務系」分野だったとしても、「創り手がいて、受け手がいるもの」であれば「世界」を考えた方が良いと考えています。

規則

「規則」とは「それに基づいて行為、手続き、操作が行われるように定めた規律、きまり、掟」です。本記事では自然現象なども含んで「規則」とします。ゲームであれば魔法のように、現実とは異なる規則が多く存在します。また、報告書であれば「です・ます」や「だ・である」文体などの規則が存在します。「世界」と言っていますが、大げさなものではない、と考えています。

整合性

「整合性」とは「無矛盾性」と同義で「ある公理系において、どの論理式についても、それとその否定とが同時には証明できないこと」が正確な意味となります。が、難しいので単純に「規則に矛盾がないこと」と考えていただければ十分だと思います。「一貫性」と言い換えてもいいかもしれません。創作物の中には多数の「規則」が出てきますが、それらが受け手にとって「矛盾の無い状態」が維持できていることを指します。

「世界」の品質

「世界」の品質を考える上で、3つの観点から分析します。

  • 観点1:「世界」の内側の話:「世界」がどういうものか
  • 観点2:「世界」から外側への話:「世界」をどう表現するか
  • 観点3:外側から「世界」への話:「世界」がどう受け取られるか

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観点1:「世界」の内側の話:「世界」がどういうものか

「整合性」が保たれていることに着目します。

「整合性」が保たれていないことは、「規則」に矛盾が生じている状態を表します。例えば、小説において同一人物の発言で「~だぜ」と「~です」が混在したり、システムにおいて同一のものを指している言葉が複数存在する場合(表記ゆれ)が挙げられます。矛盾を補う「規則」が存在すれば問題がないことが多いです。例えば、目上の人には「~です」を使うが、気の置ける間柄では「~だぜ」を使う、などです。

では、「整合性」が保たれていることの利点は何でしょうか。「整合性」が保たれていることによって、大きく以下の利点が挙げられると考えます。

  1. 受け手にとって、創作物を理解するための負担が少ない
  2. 「規則」から外れたものに気付きやすくなる

1は「規則」のSN比*2が大きくなることにより、受け手の創作物を理解する負担が小さくなることを指します。「整合性」が保たれていない場合、「規則」の矛盾に対して受け手の理解が割かれます。「整合性」が保たれていた場合、創作物の本質に対して受け手は理解を集中できるようになります。

2は「整合性」が保たれた状態で、新たに「規則」から外れたものが出てきたとき、創り手/受け手が気付きやすくなることを指します。通信工学の言葉を用いると「誤り検出」が機能しやすくなります。「整合性」を保つことが、「誤り検出」を容易にして「整合性」を保ち続けることに繋がります。ただし、「割れ窓理論」のように、「整合性」が保たれていない状態になると、創作物における「規則」が分からなくなるため「誤り検出」が機能しなくなります。

以下のグラフは赤がノイズの少ない点群であり「整合性」が保たれた状態のイメージです。青がノイズの多い点群であり「整合性」が保たれていない状態のイメージです。この中に緑の点が入ったときに気付きやすいのはどちらでしょうか。赤点群の方が緑点に気付きやすいと思います。普段から「整合性」を保ち続けることによって、「誤り検出」が効果を発揮すると考えます。

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観点2:「世界」から外側への話:「世界」をどう表現するか

創り手がどの「規則」を受け手に伝えるか、に着目します。

創作物の「世界」があったとして、それらをすべて余すことなく受け手に伝えられるとは限りません。受け手が理解できる「規則」が限られている以上、創り手は「規則」を選別した上で表現しています。表現全般にいえますが、表現が伝わるかどうかについて、創り手と受け手に以下のような関係があると考えています。

  1. 創り手が伝えようとして、受け手に伝わる
  2. 創り手が伝えようとして、受け手に伝わらない
  3. 創り手が伝えようとせず、受け手に伝わる
  4. 創り手が伝えようとせず、受け手に伝わらない

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1は明示的に伝わる状態を指します。表現したものが伝わる理想的な状態です。

2は暗黙的に伝えていない状態を指します。創り手の意図が相手に伝わらない悲しい状態*3です。

4は明示的に伝えていない状態を指します。受け手に余計な「規則」を伝えずに創作物の本質を理解してもらう為に、1と同様に理想的な状態といえます。

3は暗黙的に伝わっている状態を指します。これが創り手にとって大いに厄介な状態だと考えます。伝えるつもりのない「規則」が受け手に伝わった場合、多くの場合、創作物においてノイズになります。例えば、プレゼンテーション*4において話者がスライドの方ばかり見て聴衆を向いていない場合、話者の内容に対する自信の無さから、受け手がプレゼンテーション全体の信憑性を低く見積もるかもしれません。

良い「世界」を創るためには、1,4を増やし、2,3を減らすことが望ましいです。特に3を減らすためには、受け手に何が伝わっているのかを創り手は自覚する必要があります。自分の立つ舞台を客席から見て、どう感じるかを理解することが重要だと感じます。

観点3:外側から「世界」への話:「世界」がどう受け取られるか

創り手の「世界」を受け手がどう受け取るか、に着目します。

「世界」の品質を語る上で、受け手の存在を無視することはできません。ワインバーグ氏は「品質は誰かにとっての価値である」という言葉を残しています。

仮に完璧な「世界」を創れたとして、それが受け手に伝わらなければ良い品質ではありません。例えば、作り込まれた異世界転生ものの小説があったとして、会話がすべて異世界*5であれば、受け手は「世界」を受け入れることを放棄するでしょう。

受け手が創作物の「世界」を受け入れるためには、受け手の「世界」との親和性が高い必要があります。噛み砕くと、創作物の「規則」と受け手の既存知識である「規則」の差分が小さいことを指します。受け手は既存知識に合わないことでも学習することができるため、差分があったとしても受け入れることができます。ただし、差分が大きく、学習コストが受け手の価値に見合わない場合、学習を放棄することも起こります。

魅力的な「世界」とは、受け手の既存知識との差分が大きいです。ただし、受け手が新たに受け入れられる差分には限界があります。そのため、魅せたい「規則」以外は差分を抑えることで、魅せたい「規則」を際立たせる必要があると考えます。受け手の「世界」を知り、どの「規則」を際立たせ、どの「規則」を受け手に合わせるのか*6を創り手は精査する必要があります。受け手を知ることが、高品質に繋がるのだと考えます。

下の図*7では、円形の穴に合う図形の候補として、とげの付いた円と円錐が挙げられています。ここでは、とげの付いた円は、とげの部分が邪魔をして円形の穴に合うことができません。円錐は底面部の円が円形の穴に合致します。魅力的であるために他の「世界」との差分を大きくしようと考えることは自然ですが、それは他の「世界」に適合することと共存すると思います。他の「世界」に合わせつつ、創作物の「世界」の魅力を際立たせることが望ましいと思います。

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高品質な「世界」を目指す

改めて、高品質な「世界」を目指す目的と手段を考えてみたいと思います。

良い「世界」は何が良いか

「整合性」が保たれた「世界」により、創り手が得られる利点は以下のものが挙げられると考えます。

  1. 伝えたいものが期待通りに伝わる
  2. 「規則」から外れたものに気付きやすくなる
  3. 創作物に対する没入感を高める

1,2については、観点1で述べた内容になります。「引っかかり」をなくすことで、受け手が創作物の理解に集中できるようになります。

3は受け手への直接的な価値へと繋がるものです。創作物に対して、受け手が「世界」に浸れる状態を指します。受け手が「世界」に浸ったとき、超集中状態*8に入る場合もあります。創作物に対して超集中状態に入れることは、受け手にとって代えがたい体験となります。その体験ができることは、創作物の魅力的な価値のひとつと言えるでしょう。

品質における「世界」の立ち位置

品質の特徴を記述した狩野モデルというものがあります。狩野モデルでは「魅力的品質」と「当たり前品質」がよく語られます。

本記事で紹介した「世界」は「当たり前品質」に該当すると考えます。「充足されていても当たり前と受け取られるが、不充足であれば不満を引き起こす品質要素」の意です。「規則」に矛盾が生じていると受け手は違和感を感じますが、「規則」に矛盾が無い時は気付かないと思います。

では、「世界」を創り込む価値は低いのか、というと、そうではないと考えます。「世界」を創りこむことでその創作物への没入感を高めることは「魅力的品質」だと思います。「魅力的品質」とは「充足されていれば満足を引き起こすが、不充足であっても仕方ないと受け取られる品質要素」の意です。

「当たり前品質」を徹底することで「魅力的品質」が生じる。「世界」を創ることは「凡を極めて非凡に至る」ことだと私は考えています。

f:id:toshimana:20181225210642j:plain

(出典:日本科学技術連盟 https://www.juse.or.jp/departmental/point02/08.html)

どうやって「世界」の品質を向上させるか

「世界」が重要だったとして、その品質を向上させることは中々イメージし難いものだと思います。例えば、優れた監督によって良い映像作品が創り出されることは多いですが、良い「世界」の構築には特殊なセンスを持った方しかできないのでしょうか。私はそうではないと考えます。業務として「世界」の品質を高める活動を行っている方もいます。誰でもできる、とは現状言い難いですが、訓練によって近づくことはできると思います。創作物における「世界」の品質を向上させるための活動だと私が思った例を以下に示します。

出版社の校閲は良い「世界」を創る上で重要な働きをしていると考えます。筆者が見逃してしまう表現に対して、矛盾が無いかを検査しています。

matome.naver.jp

  • Testing Live!!!

凄腕テストエンジニアとして知られている @____rina____ さんがPHPカンファレンス福岡2018で行ったセッション動画が公開されています。探索的テストという技法を用いて、「整合性」を保つテストの実演を見ることができます。彼女は「整合性」についてセッション内でも言及しており、少なくとも私は本記事の「世界」と同質だと考えています。

「Testing Live!!!」 フクダリナ - YouTube

  • 違和感のつかまえかた

同じく凄腕テストエンジニアとして知られる @miwa719 さんによる製品の違和感の扱い方が書かれた記事です。ソフトウェアテストアドベントカレンダー#2 24日目の記事です*9。ここでの違和感は、「規則」の矛盾/ノイズと同質だと私は考えています。微細な違和感に対する向き合い方は、良い「世界」の創り方に通じるものだと考えています。

miwa719.hatenablog.com

おわりに

「世界」というと大げさに聞こえるかもしれません。私たちが生活している「世界」が常にそこにあるように、「世界」はとても地味なものだと考えています。

ただ、私が優れた創作物に感じる共通点として、「まるでそうあることが自然であるかのように見える」ことが挙げられます。今回の「世界」の話は「自然であること」を掘り下げた内容となっています。

ドイツの美術史家、アビ・ヴァールブックのモットーとして「われわれは、おのれをそこに見出すところの自分の無知を探索し、打ち倒さなければならない。神は細部に宿りたまう」という言葉があります。創り手はまるで自分が神であるかのように創作物の細部にまで意図を込めることで、創作物の「世界」が姿を現すのだろうと想像しながら、この「技術ポエム」の結びとしたいと思います。

*1:ずっとこの記事を書いているので、びっくりするくらいクリスマス感がない

*2:Signal/Noise比、ノイズに対して信号がどれだけ大きいか

*3:本記事がそうではないかと戦々恐々しています。

*4:プレゼンテーションも創作物としています。演劇の亜種のようなもの

*5:語学として実用に足るものであったとしても

*6:競合製品と操作感を合わせる、とかも該当します

*7:これは思い付きで作った問題なので、あまりツッコまないよう願います

*8:ゾーン。スポーツ分野で特に語られる言葉です

*9:べ、別に前日にとても良い記事が挙がったから乗っかったわけじゃないし!

エンターテインメント論 在り方の話

「エンターテインメント論」の3分類のひとつ、在り方の話です。

詳しくは「はじめに」を参照ください。

toshimana.hatenablog.com

「創り方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 創り方の話 - toshimana's diary

「見方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 見方の話 - toshimana's diary

在り方の話

在り方の話は以下で構成されます。

  • 不可能を可能にする
  • 自分の持つすべてを活かす
  • 楽しければ良いじゃないか
  • 誰のためにつくるのか
  • たかが技術、されど技術
  • 「こだわる」ということ
  • 後ろ盾のない舞台

不可能を可能にする

一見不可能に見えることでも捉え方を変えることにより実現できることがある。

「人は空を飛べるか」という問いに対して暗黙の条件を付けていないか。例えば、飛行機を使えば人は飛べる。

暗黙の条件に囚われない柔軟な考えを持とう。暗黙の条件を外して不可能に挑んで結果は、周りからみたら不可能を実現したようにも見える。

自分の持つすべてを活かす

自分の経験、知識、人脈など使えるものは全て使おう。

自分に制約を付けた「縛りプレイ」は相手に対しての価値には繋がらない。

全力で挑もう。「できる」と「できるはず」に大きな違いがあることを知ろう。

楽しければ良いじゃないか

ものを創る上で何を優先するかは人に依る。最優先にするのはシンプルな方が良い。

自分は楽しいものを創る。自分が楽しめるものを創る。

創ったもので受け手が楽しんでくれることが自分の楽しみとなる。

誰のためにつくるのか

ものづくりは自分のための行為である。受け手が喜んでくれることが、自分の喜びになるからものづくりを行う。

自分がものを創ることは自分の選択であり、責任である。

人のためだと自分に嘘をつくと、その責任も相手に逃がしてしまう。自分の本音と向き合おう。

たかが技術、されど技術

「たかが技術」。自分の価値が如何に小さいかを知ろう。自分がいなくても世の中が回っていることを知ろう。

隣人が世の中にどれだけ貢献しているかを知ろう。周りの強大さを知ろう。

「されど技術」。強大な周りの中で、自分がどんな価値を貢献できるかを考えよう。

「こだわる」ということ

「こだわる」ということは、「こだわる」もの以外を「こだわらない」ことである。

自分の「こだわり」に優先順位を付けて、競合する場合は優先順位が高い「こだわり」のために優先順位の低い「こだわり」を捨てよう。

「こだわり」のために他の「こだわり」を捨てれるようにしよう。

後ろ盾のない舞台

受け手は創り手に対して遠慮をしない。つまらないものに対してはつまらそうに反応する。

受け手は創り手の努力に興味がない。受け手は創り手の結果のみを見て判断する。

結果で語らなければ相手に刺さらない。結果を出すための努力をしよう。

ナンバーワンよりオンリーワン

交換不可能な創り手であろう。同じ軸であればより優れた方が採用される。

自分の知識や経験などを用いて複数の軸を育てよう。

複数の軸を用いて自分でしか創れない世界を創ろう。

エンターテインメント論 見方の話

「エンターテインメント論」の3分類のひとつ、見方の話です。

詳しくは「はじめに」を参照ください。

toshimana.hatenablog.com

「創り方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 創り方の話 - toshimana's diary

「在り方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 在り方の話 - toshimana's diary

見方の話

見方の話は以下で構成されます。

  • 俯瞰の目
  • 贔屓も差別もしない
  • 創り手の目線に立つ
  • ライバルは誰だ
  • 感性に理由をつける
  • 違うものから使えるところを見つける
  • 改善点を見つける
  • 失敗したときにこそ本質が見える

俯瞰の目

動き方に慣れていない場合、自分が大きく動いたつもりでも受け手には大きく見えていない場合が多い。

受け手に自分が伝えたいイメージを伝えられるように、自分自身をよく見よう。

録画で自分の動きを記録して確認しよう。客席から自分を見て、どのように感じるかを理解しよう。

贔屓も差別もしない

ものを見る目を育てるためには、ものの良し悪し以外の情報に左右されない意識が重要。

贔屓や差別には気を付けよう。創り手によってものの評価が左右されないようにしよう。

特に自分自身に対する贔屓には気を付けよう。自分を贔屓しても、他人への価値には貢献しない。

創り手の目線に立つ

見やすいもの、感動するもの、圧倒されるもの。優れたものほど創り手の工夫に溢れている。

良いものは受け取ることが簡単だが、創ることは難しい。

良いものを創るためにどのような工夫がされているかを考えよう。同じ作品を創るときに自分にどのような努力が必要かを考えよう。

ライバルは誰だ

ライバルは自分が見えている範囲にいるとは限らない。

映画のライバルは映画ではない。小説のライバルは小説ではない。娯楽と言われるものにおいて、他の娯楽全てがライバルである。

すべての娯楽の中から、自分を選びたくなる理由を考えよう。

感性に理由をつける

「上手く説明できないが良い結果が得られる」ことを習得できる場合がある。

なぜ良い結果が得られているのかを言葉で説明できるようになろう。

説明できると比較ができる。比較ができるとより良いものを見つけた時に乗り換えられる。成長するために言葉にしよう。

違うものから使えるところを見つける

自分が学んでいる分野以外にも優れた分野はとても多く存在する。

他の分野で良い所を見つけた場合、自分の分野とその分野で同じところを見つけよう。

同じところを合わせた時、他の分野の良い所は自分の分野の何に当たるかを見つけよう。

改善点を見つける

ものを見ると問題点が目につく。しかし、問題点を指摘したところで、ものは改善されない。

問題点と一緒に実現可能な改善点を挙げよう。改善点を挙げる行為は、問題を自分事にしないとうまく行かない。

問題点があるからといって取り得る選択肢の最善手ならそれを取るしかない。選択肢を増やせる指摘をしよう。

失敗したときにこそ本質が見える

完璧に準備をしたとしても人は失敗する。失敗しない人などいない。

準備が足らないと失敗したときに「世界」よりも復帰を優先する。十分な準備があると失敗したときに「世界」の中で復帰を行う。

失敗したときこそ「世界」に対する創り手の準備が良く見える。

エンターテインメント論 創り方の話

「エンターテインメント論」の3分類のひとつ、創り方の話です。

詳しくは「はじめに」を参照ください。

toshimana.hatenablog.com

「見方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 見方の話 - toshimana's diary

「在り方の話」は以下になります。

エンターテインメント論 在り方の話 - toshimana's diary

創り方の話

創り方の話は以下で構成されます。

  • 「予想外」の創り方
  • 「世界」を創る
  • 100回見ても面白いか
  • イメージと現実
  • 感覚へのイメージを合わせる
  • 自分を出さない
  • 日常では自信をなくして、舞台では自信を持つ

「予想外」の創り方

「予想以上」や「予想外」を起こしたいのであれば、その「予想」が何なのかを理解し、それに応える必要がある。

受け手の「予想通り」を実現できれば、その予想を超えたり外したりすることで「予想以上」や「予想外」を創ることができる。

「予想以上」や「予想外」は「予想通り」の上にある。

「世界」を創る

日常を過ごす受け手に非日常を受け入れてもらうには「世界」のルールを理解してもらう必要がある。

「私の世界はこのルールに則っている」ことを示し、それに矛盾しない行動をとることで受け手に世界を受け入れてもらうことができる。

ルールを提示しなかったり、ルールに対して矛盾する行動は受け手の集中の発散に繋がる。

100回見ても面白いか

ものの面白さにはいろんな種類がある。流行的な面白さ、知識的な面白さ、本能的な面白さ。

自分の創っているものがどういった面白さを表現したいのかを把握しよう。

本能に訴えるようなものを創りたいのであれば、100回見ても面白いものを目指そう。

イメージと現実

ものづくりは創り手の感性に依存する部分は大きいが、創り手の感性だけに頼っていると受け手との乖離が大きくなる。

自分の感性とは違う指標を用いて、ものを評価しよう。特に物理量(現実)を用いて評価をすることは、創り手の偏りを減らすために有用。

時間配分で見てみよう。空間の占有率で見てみよう。出てきた現実の偏りにどんな意味があるのかを考えよう。

感覚へのイメージを合わせる

五感のうち、できる限り多くの種類に訴える方が受け手の印象に残りやすくなる。

ただし、ものによって影響を与えられる五感の種類に限度がある。その場合は可能な限り与えるイメージを一致させよう。

ある瞬間において、視覚のイメージと聴覚のイメージを一致させよう。視覚と聴覚で与えるものを一致させるのではなく、それぞれで受けるイメージを一致させよう。

自分を出さない

ものづくりで受け手に伝えたいものが何かを考えよう。

「自分でしか創れないもの」や「自分が伝えたいもの」に必ずしも「自分」が必要であるとは限らない。

自分は「見せたい世界」を表現するための役者である。「見せたい世界」を研ぎ澄まそう。

日常では自信をなくして、舞台では自信を持つ

本番(舞台)はこれまで積み重ねたものを表現するだけである。

不安がなくなった時が自分の限界である。日常では自信をなくして、自分の不安を愚直に潰していこう。

自信は受け手に表現を伝える潤滑剤となる。舞台では自信をもって、自分が頂点であると錯覚しよう。

ディレクション

マジック界にはミスディレクションという「見せたくないものから目を逸らさせる」技術がある。

ミスディレクションディレクション(見せたい世界を見せる)のためにノイズを消す技術である。

ミスディレクションディレクションしないようにしよう。ディレクション(世界)が先にあり、ディレクションを実現するためにミスディレクション(技術)がある。

エンターテインメント論 はじめに

オンラインの飲み会で「エンターテインメント論」の話をしました。

connpass.com

www.slideshare.net

「エンターテインメント論」とありますが、そういう理論の話ではありません。私が大学時代のサークルの経験をもとに「良いもの(見世物)を創るための考え方」をまとめたものになります。自身ではその考え方が今でも生きているのでどこかでまとめたいと思っていました。

オンラインで話すにあたり、それなりの時間をかけて自分の考えを整理したので、忘れないうちにアウトプットしておこうと思います。パターンランゲージに近い小ネタ集みたいなものになります。

構成

本稿を除いて、3回に分けてまとめます。大きく3つに分類します。

  • 創り方の話

アウトプット。ものづくりを行うときの考え方

エンターテインメント論 創り方の話 - toshimana's diary

  • 見方の話

インプット。ものを鑑賞・吸収するときの考え方

エンターテインメント論 見方の話 - toshimana's diary

  • 在り方の話

マインドセット。ものづくりに関わるときの考え方

エンターテインメント論 在り方の話 - toshimana's diary