はじめに
2018/1/26-27の二日間でJaSST東北実行委員会では「HAYST法」のワークショップ準備会を行いました。その中で得られたHAYST法の知見について整理もかねて公開します。今回は「HAYST法」の軸となる考え方の一つである「Estimation」についてまとめます。
※内容は理解途中のものです。予告なく変更する場合があります。
HAYST法
富士ゼロックス社の秋山浩一氏が考案したテスト技法です。
システムテストを対象として、テスト対象分析やテストアーキテクチャ設計まで網羅する総合的なテスト技法*1です。
特徴として、実験計画法や品質工学で使われている直交表を用いて、効率的な組み合わせテストを軸として扱うことが挙げられます。
事例とツールで学ぶHAYST法―ソフトウェアテストの考え方と上達のポイント
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ソフトウェアテストHAYST法入門 品質と生産性がアップする直交表の使い方
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VerificationとValidation
品質評価は「Verification」と「Validation」の2つの視点で語られることが多いです。
上記ページでは以下のように説明されています。
- 検証(Verification)
対象が仕様・設計・計画などの要求事項を満たしているかに関する確証
- 妥当性確認(Validation)
対象の機能や性能が本来意図された用途や目的に適っているか、実用上の有効性があるかについての評価
一般的なソフトウェアテストは「Verification」の意で使われることが多いように思います。しかし、「Validation」が満たされない場合、製品が目的を達成できないことになります。「Verification」だけでなく「Validation」も意識してテストをすることは非常に重要です。
Estimation
「HAYST法」は「Verification」と「Validation」のどちらになるのでしょうか。
HAYST法ではvalidationではなくestimationを行います。estimationを日本語にすると評価となります。普通はevaluationを評価と訳しますが、estimationを当てています。estimationは見積りつまり、未来の予測という意味です。
— akiyama924🍢 (@akiyama924) 2018年1月26日
「HAYST法」は「Estimation」とのことです。「Verification」と「Validation」のどちらでもありませんでした。
ここでは、「Estimation」は評価/予測の意で使われています。
目的機能による未来の予測
「HAYST法」における「Estimation」は「目的機能」が対応します。
何を予測しているかというと、FV表の目的機能を予測しています。
— akiyama924🍢 (@akiyama924) 2018年1月26日
HAYST法ではテスターが予測した未来に対する合否基準をもとにテストを行って、その合否をエビデンスとして残します。
連ついお終い。
「HAYST法」では、テスト対象のライフサイクルにおいて利用者に対する価値が最大になるような未来を「目的機能」によって予測します。「目的機能」によって定めた予測が正しいことを様々なテストによって評価します。
「目的機能」はテストエンジニアが渡された仕様書を元に創造力を働かせて設定します。「HAYST法」では「目的機能」を導く手順として「6W2H」や「ユーザーストーリー」などを用いた手法が想定されています。
おわりに
「機能が実現できているか(Verification)」や「目的を達成できるか(Validation)」は、ある時点(主に開発完了時)に着目した視点になります。「HAYST法」では「ライフサイクルにおいて利用者に最大の価値を届けられるか(Estimation)」を視点として加えることで、価値ある製品/サービスのためのテストを創造することができます。
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2018/5/25(金)に行われるJaSST東北では「HAYST法」に基づいたテスト要求分析/テスト設計のワークショップを行います。
振るってご参加ください!
*1:フルスペックの場合。フルスペックではなく部分的に適用することも可能